平成29年度 文部科学省 大学の世界展開力強化事業 採択プログラム (令和3年度終了)

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第3回日露産官学連携実務者会議を開催しました

2021年1月27日(水)午後に,「第3回日露産官学連携実務者会議」及び「令和2年度大学の世界展開力強化事業採択校(ロシア)活動状況報告会」をオンライン開催しました。この会議は,北海道大学と新潟大学が共同採択された文部科学省の平成29年度「大学の世界展開力強化事業~ロシア等との大学間交流形成支援~(タイプB:プラットフォーム構築プログラム)」の事業(HaRP事業)の活動の一つです。昨年度実施された第2回の会議では,日露交流を行う大学(日本の大学19校,ロシアの大学30校)に加え,29の機関・団体から約160名が一堂に集い日露交流の発展及び促進を目的として情報共有し意見を交わしました。第3回の今回は,新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響によりオンラインでの開催となりましたが,日露交流を行う大学(日本の大学23校,ロシアの大学47校)を含め,文部科学省,経済産業省,関係企業・団体等,日本側31機関,ロシア側57機関から,昨年度を上回る約185名が参加しました。なお,本会議は,日露大学協会,日露地域・姉妹都市交流年事業行事として認定を受け実施されました。

「第3回日露産官学連携実務者会議」に先立ち,13時からは「大学の世界展開力強化事業(ロシア)採択校活動状況報告会」が開催され,平成29年度に採択された7事業8大学(千葉大学,東京外国語大学,東京工業大学,金沢大学,長崎大学・福島県立医科大学,東海大学,近畿大学)が,コロナ禍におけるロシアとの教育交流の取組やその課題についての報告を行いました。渡航を伴う教育交流プログラムと同様の教育効果をもたらすよう工夫を凝らしたオンラインによるロシアとの教育交流の取組が各大学より紹介されるとともに,文部科学省担当者と採択校間の意見交換も行われ,世界展開力強化事業関係者間で有益な情報共有を行うことができました。

15時に開始した「第3回日露産官学連携実務者会議」は,冒頭の北海道大学の横田 篤 理事・副学長及び佐藤 邦明 文部科学省 高等教育局 主任大学改革官・国際企画室長の挨拶から始まり,二部構成で行われました。

横田理事の開会挨拶
文部科学省 佐藤 邦明 主任大学改革官による挨拶

「日露産官学連携によるキャリア支援」をテーマとして実施された第一部は,北海道大学より2020年度の専門セクション活動報告や第一部の論点(産官学コンソーシアムの取組と大学の実務者教育との相互連携)の説明が行われた後,産官学それぞれの立場から,キャリア支援の取組について発表がありました。まず,独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)から,ロシア高度人材に関する調査結果に基づく日露高度人材交流の現状や今後の課題についての発表がありました。続いて,ロシア側より,高等経済学院から,ユニクロロシアとの共同インターシッププログラムについて,サハリン国立大学及び在ユジノサハリンスク日本国総領事館から,廃棄物処理・エネルギー等の分野の日本の知見をロシアの若手研究者に伝授するための産官学連携共同セミナーについての説明が行われました。日本側からは,近畿大学・東京外国語大学による日露人材育成プログラム参加者へのキャリア支援の取組,具体的には企業インターンシッププログラムやOB・OGによるビジネス講義などの実施による実務者育成についての説明がありました。さらに,経済産業省の8項目の協力プランに基づく日露人材育成や地域間交流の取組の説明に続き,北海道より,医療・行政分野・ロシア語教育等における北海道とロシアとの地域間交流やロシア人材活用に係る取組の紹介が行われました。その後の意見交換のセッションでは,各発表者により,インターンシッププログラム実施にあたっての工夫や,実務者育成に向けた大学教育の役割などが掘り下げて議論されました。最後に,司会進行を務めた北海道大学の瀬戸口 剛 工学研究院長が,今後もHaRP事業を通じて企業・大学間の個別のネットワークやその知見を広く共有し,企業・大学双方にメリットがある連携を進めることの必要性を述べ第一部を総括しました。

第一部司会進行の瀬戸口教授

17時に開始した第二部は,「今後の日露教育交流の発展に向けて」をテーマとして,ロシア連邦高等教育科学省Igor GANSHIN国際連携部部長の来賓挨拶(代読)に続き,日露大学協会の下に置かれている日露学生連盟・人材交流委員会の活動報告が行われました。人材交流委員会の報告では,日露大学間の大学教育制度の相違や単位互換・認定の現状にかかる説明が行われ,特に,ロシアの大学におけるコンピテンス(学生が獲得すべき能力)を基準としたカリキュラム編成やネットワーク形式(Network form)と呼ばれる他機関との教育連携の枠組みについて,日本の大学に向け紹介が行われました。各機関による発表のセッションでは,ロシア側大学を代表し,モスクワ国立大学が,コロナ禍における学生のモビリティの向上に向けた取組,特に,オンラインによる授業や共同研究の実施,日本の大学で取得した単位の認定方法について発表しました。日本側大学からは,新潟大学の医学分野でのダブルディグリープログラムにおける単位互換,北海道大学のロシアの大学とのネットワーク形式を利用したジョイントマスタープログラム,といった特色ある取組が紹介されました。加えて,HaRP事業実施大学である北海道大学より,HaRP事業の補助金期間が終了する2021年度以降の事業実施計画の構想が参加者に共有されました。意見交換のセッションでは,日露双方の機関から,単位互換やコチュテルプログラムといった教育連携の事例が紹介されるとともに,日本側でコンピテンス概念を導入することにより教育の質を担保する形で教育連携が発展することへの期待が述べられました。最後に,人材交流委員会委員長である北海道大学の加藤 博文 教授が,コンピテンスやネットワーク形式の概念に基づき,日露大学間の教育プログラムの共有化の取組を進めるべく,継続した議論を行うことに言及し,閉会となりました。

第二部モスクワ国立大学BUKHSHTABER副学長の発表

本会議では,第一部・第二部を通して,様々な観点から人材育成に関する情報共有や意見交換が行われるとともに,HaRP事業における日露交流の取組を多角的に多くの方に知っていただくことができました。この会議を契機として,今後も,日露交流に携わる実務者同士のネットワークをさらに強化するとともに,産官学連携による人材育成や日露大学間の教育連携を発展させるべく,様々な取組を実施する予定です。

本会議のプログラム・発表資料等の詳細は,令和2年度第3回日露産官学連携実務者会議のページをご参照ください。

本イベントの報道ぶり:
JETRO(2月12日ビジネス短信)

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