2019年11月14日及び16日に、ロシアのノリリスク市において寒冷地の経済社会問題をテーマとした一連のイベントが、ノリリスク市、ノリリスク発展局、ノリリスク国立産業大学、札幌市および北海道大学の協力で開催されました。北海道地域コンソーシアムの活動の一環として札幌市に事務局が置かれている世界冬の都市市長会の実務者会議(World Winter Cities Association for Mayors Working Meeting: WWCAM–2019)が初めてロシア(会員都市のノリリスク市)で開催されることを受け、サイドイベントとして講演会・ワークショップ(14日)や“North for Work and Life”と称する会議・トークショー(16日)が行われました。
14日の講演会・ワークショップでは、北海道大学北極域研究センターのJuha Saunavaara助教とモスクワ国立大学地理学部のOlga Tutubalina上級研究員が、ノリリスク国立大学の教員と学生向けに、寒冷地の通信インフラとリモートセンシング技術を活用した環境観測について講演を行いました。
16日のパネルディスカッションには、専門セクション参画者を含む北海道大学関係者(5名:北極域研究センターの大塚夏彦教授、Juha Saunavaara助教、工学研究院の森太郎准教授、地球環境科学研究院のRam Avtar助教、メディア・コミュニケーション研究院のJeffrey Gayman教授)、日本企業(3名:株式会社ノースプラン)、ロシア側大学関係者(7名:モスクワ国立大学、北東連邦大学、ウラル連邦大学、ハバロフスク国立経済法科大学)などが参加し、冬のエネルギー効率向上のためのインフラ整備や物流関係の問題、寒冷地が抱える開発課題、少数民族の伝統文化や生活様式の保護等について発表と意見交換を行いました。アイヌ民族を対象とした研究報告については、タイムル(ドルガン・ネネツ)郡(自治管区)議会議員や先住民及び農水局局長なども参加し、それぞれの立場から関連のテーマで発表し、ディスカッションに加わりました。ノリリスクの自治体や企業からも一部のセッションへの参加がありました。また、日系企業のノースプラン社と現地の大手金属採鉱会社より除雪・防風対策の説明があり、活発な議論を行いました。
さらに、16日に森准教授は“Making winter city life better”を話題に取り上げたトークショーに出演し、学界・人材育成側の有識者として冬の都市である札幌市の住宅環境整備について発言しました。
このようにHaRP事業で企画したイベントが、ロシア北部の大学の国際化、とりわけ日本の大学とロシアの大学の交流の発展につながることを期待します。
“North for Work and Life”の参加者
WWCAM–2019@Norilskに参加したHaRP関係者(右から森准教授、大塚教授、ロマ―エヴァ・コーディネーター)