セミナーの主催者であるラム・アバタル准教授(地球環境科学研究院)による報告を紹介します。
セミナーの目的:
本セミナーの主たる目的は、マルチセンサー・リモートセンシングによる衛星データ(PALSAR、Sentinel-1、Sentinel-2、Landsat)を処理するアルゴリズムを開発し、北方地域の生態系をモニタリングすることです。北方地域の生態系は陸上の動植物の中で最大級であり、世界的な炭素の循環において大きな役割を果たしています。近年、北方地域の生態系における森林火災や傷んだ森林の崩壊が、二酸化炭素の排出量増加の原因となっています。マルチセンサー・リモートセンシングで収集されたデータからは生態系の変化に関する正確な情報が分かり、森林を持続的に管理できるようになります。本セミナーは、持続可能な森林管理を行うために、マルチセンサー・リモートセンシングで収集したデータを用いて根拠に基づく解決策を探る方法を議論することで、SDGs 目標 13「気候変動に具体的な対策を」ならびに目標 15「陸の豊かさも守ろう」の実現への貢献が期待されます。
セミナーの概要:
日本、ロシア、英国からの登壇者ならびに8か国から64名が参加しました。セミナーでは、フィールドにおいて長期で観測したデータ、地理空間データ(特に北方地域の生態系をリモートセンシングで正確にモニタリングしたデータ)の重要性が強調され、充実した内容となりました。サハ共和国中部のスパースカヤ・パージといったフィールドは、生態系モニタリングにおける国際協力における優れたプラットフォームになり得ますし、セミナーの結果として、日英露の新たな協力が生まれる可能性があります。また、本セミナーでは高度マルチセンサーと機械学習、ディープラーニングのアルゴリズムで収集したデータを活用することで、近い将来に新たな成果を上げられることを実証しました。
セミナーの成果:
- セミナーにより、日露の研究者が協力し、連携拡大や情報交換を図る機会を提供
- 実習により、現在行われている研究において機械学習とディープラーニングアルゴリズムを実際に適用する機会を提供
- 自動運転の実習により、データの収集と処理の方法の修得機会を提供
- 今後の地球情報学における機械学習(machine learning, ML)とディープラーニング(DL)の応用に関する共同出版や共同研究についての検討
- 本シンポジウムに基づき、モスクワ国立大学(MSU)でも学生を対象に Google Earth エンジンを用いた研修を実施
シンポジウムの録画ダウンロードを希望する研究者・学生の皆様はアバタル准教授(Dr. Ram Avtar; ram@ees.hokudai.ac.jp)までご連絡ください。
当日動画 (YouTube)
プログラム
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