2021年9月14日、オンラインセミナー「持続可能な地域開発、国際協力、北極圏の環境保護」を、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指して日露間の学術協力の推進を図る日露学術フォーラムにおける4つのセッションの1つとして実施しました。本セミナーは、北海道大学北極域研究センター、HaRPの専門セクション「SDGs: 環境・資源開発・多文化教育」、北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)国際政治課題 「複雑化する北極域政治の総合的解明と日本の北極政策への貢献」サブグループ4「非国家主体とパラディプロマシー」、北極圏大学(UArctic)アジアにおける北極圏・北極圏におけるアジア分科会、モスクワ国立大学、日露大学協会による協力事業として実施されました。
本セミナーは2部制で実施されました。
第1部では、日露の研究者ならびにNGOの代表が発表2件と講評2件を行いました。(モスクワ国立大医学 Olga Tutubalina、WWFロシア Irina Onufrenya、ユカギール民族長老会議 議長・サハ共和国北方先住少数民族協会 副会長 Vyacheslav Shadrin、北海道大学 Jeffry Gayman)
第2部では日本、ロシア、ノルウェーの大学の研究者が2件の発表と2件の講評を行いました。(モスクワ国立大学 Alexander Pilyasov、同 Nadezhda Zamyatina、北海道大学 田畑 伸一郎、ロシア国立研究大学高等経済学院 Ilya Stepanov、ノルウェー北極大学 バレンツ研究所 Aileen A. Espiritu)
第1部ではロシアにおける環境意識の向上と、北極圏の環境のモニタリングと保護を目的として地域住民や組織が実施する様々な具体的活動に焦点が当てられました。また、発表では先住民族の伝統的な生活様式と環境の関係性を強調するとともに、環境法規制と先住民族の権利保護がどのように連動してきたかを分析しました。
第2部では地域経済や都市づくりの様々なモデルを分析し、世界的な脱炭素化に向けた取り組みが北極圏の持続可能な開発に与える影響や、地球温暖化が北極圏における国際関係に及ぼす影響について議論しました。
本セミナーには、ロシア、日本、フィンランド、ノルウェー、カナダ、インドネシア、ブルガリアから総勢約110名が参加し、様々な大学、研究機関、NGO、国や地方の政府と関連機関、民間企業の代表者による発表や意見交換が行われました。セミナーの成果として、①北極圏の環境保護において非国家主体の果たす役割に関する議論、②持続可能で社会的・経済的な責任を果たせる北極圏の開発に関する議論、③地域環境力において非国家主体の果たす役割に関する議論、という3つの目標に大いに貢献したと言えます。
なお、本セミナーは ArCS II と HaRP が共催する一連のセミナー(マルチレベルガバナンスと地域間協力)の一環として実施されました。
- 第1回 オンラインセミナー:マルチレベルガバナンスと地域間協力:Vol.1 - 北極および太平洋地域(2021年1月12日開催)
- 第2回 オンラインセミナー:北極圏と北方圏における日露の地域間協力 - 理論と実践 -(2021年3月3日開催)
- 第3回 オンラインセミナー:マルチレベルガバナンスと地域間協力:Vol.2 - バレンツ地域(2021年6月9日開催)
また、本セミナーでは2019年と2020年に実施された「北方の持続可能な開発フォーラム(Cold Lands seminars / Northern Sustainable Development Forum)」で培ったネットワークや協力関係を活用しました。
当日動画(YouTube)
9/14 日露オンラインセミナー「持続可能な地域開発,国際協力,北極圏の環境保護」
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