国際オンラインセミナー「ロシア極東とアジア側の北極の発展に向けたアジア太平洋地域における越境地域間協力」

2021年10月18日、オンラインセミナー「ロシア極東とアジア側の北極の発展に向けたアジア太平洋地域における越境地域間協力」を開催しました。本イベントはハバロフスク国立経済法科大学、北海道大学北極域研究センター、日露経済協力・人的交流に資する人材育成プラットフォーム（HaRP、特に専門セクション「SDGs：環境・資源開発・多文化教育」）、北極域研究加速プロジェクト（ArCS II、特に国際政治課題「複雑化する北極域政治の総合的解明と日本の北極政策への貢献」サブグループ4「非国家主体とパラディプロマシー」、北極圏大学「アジアにおける北極圏・北極圏におけるアジア」分科会（UArctic Thematic Network on the Arctic in Asia, Asia in the Arctic）の協力事業として実施しました。

本セミナーは、現在のロシア、中国、日本の法的枠組み、北極政策、国家支援による主要な北極プロジェクトに照らし合わせて、大学、研究機関、地方自治体、先住民コミュニティ、事業を支援する民間団体など地域のアクター（活動主体）の間で既存ならびに将来の協力形態を検討するために開催されました。その主たる目的は、将来的にロシア極東、特にその北部の発展に寄与する最も有望な協力分野と形態を解明することです。

セミナーは英露同時通訳で開催され、日本・ロシア・中国より参加者80名以上が集まりました。また、ArCS II ならびに HaRP事業による以下のセミナーシリーズ（マルチレベル・ガバナンスと地域間協力）の一環として企画されました。

セミナー１－オンラインワークショップ：マルチレベル・ガバナンスと地域間協力：Vol.1 – The Pacific Arctic（2021年1月12日）
セミナー２－オンラインワークショップ：北極圏と北方圏における日露の地域間協力－理論と実践（2021年3月3日）
セミナー３－オンラインワークショップ：マルチレベル・ガバナンスと地域間協力：Vol.2 －バレンツ地域（2021年6月9日）
セミナー４－オンラインワークショップ：持続可能な地域開発、国際協力と北極の環境保護（2021年9月14日）

ここには 2019～2020年に開催された寒冷地セミナー・持続可能な北方圏開発フォーラムを通じて確立された協力関係とネットワークが反映されています。

セミナーは二部制で企画され、ハバロフスク国立経済法科大学の Anna Zhebo 副学長が歓迎の辞を述べました。

第一部では日本・ロシア・中国の研究者、NGOらが発表を行いました（北海道大学 Juha Saunavaara、Marina Lomaeva、ハルビン工業大学 Gao Tianming、ヤクーチア国際スポーツ協会 Mikhail Ershov、チュコート科学研究支援グループ Gennady Zelensky）。

第二部では、ロシアと中国の大学や地方政府の代表者らが発表を行いました（ロシア科学アカデミー極東支部（ハバロフスク）経済研究所 Elena Zaostrovskikh、中国海洋大学 Guo Peiqing、ハバロフスク地方議会 Alexander Voronenko、黒竜江オリエンタル大学（PRC）Yin Zhao）。残念ながら、北極経済評議会・NGOアラスカ海事情報センター Paul Fuhs 氏は参加できませんでした。

第一部では、国家間・地域間の学術協力の展望と課題に焦点が当てられました。また、チュコート半島でのフィールドワーク実施に当たって考慮すべき地域の特色の紹介だけでなく、国境を超えて北方地域の人々の架け橋となるような活動として伝統文化の振興についても議論しました。この続きとして、第二部では特に北極海航路について、インフラ整備や国境を超えた経済協力に関する分析を行いました。また、ロシア連邦北極圏における経済活動の法的枠組みにも関心が向けられました。

本セミナーには様々な大学、研究機関、NGO、行政機関ならびに関連機関、民間企業等を代表する発表者と参加者が集まりました。成果として、①北極地域・北アジア太平洋地域の発展における学術・文化・経済協力の役割、②ロシア極東・アジア極北における地域づくりのプロセス、③国境を越えた協力における非国家主体の役割に関する議論に貢献できたといえるでしょう。